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最初に「みんなの会」の原点である「つくる会」教科書採択を撤回した時の声明文を記録します。

杉並区中学校教科用図書採択に関する声明(2011年)

 杉並区教育委員会は、本日、来年度から四年間使用する中学校教科用図書の採択を行いました。
私たちは朝から「子どもたちにあの教科書を渡さない!」強い思いを集めて、炎天下に300人を超える人々が集まりました。私たちの集会を妨害するために右翼の街宣車がわけの分からないことをがなりたて、ああいう人々が推奨する教科書だからこそダメなのだ見本のような場面でした。六年間あの教科書で苦労を重ねてきた教員から、中学生の保護者から、在日の仲間から、「もうごめん」のメッセージが表明されて、改めて、三度くり返させない思いを強くしました。
  午後からの教育委員会には、20席に260人を超える人々が傍聴を求め、教育委員会室に入れなかった人々が別室で音声を聞く、ということになりました。
  教育委員長の大蔵氏は、委員長の職務である会議進行を忘れたかのように、自説を延々と述べ、何とか議論の誘導をしようとする姿が露骨でした。国語の教科書を選ぶ段になって、宮坂委員は相も変わらず、「平和志向の強い教材はいかがなものか」と述べ、傍聴者の失笑を買う場面もありました。
  こうして、社会科の採択結果は、歴史・公民とも「帝国書院」ということに決定。その瞬間、別室で傍聴していた人々は、制止の指示にもかかわらず、大きな拍手の沸く場面となりました。私たちの息の長い運動が今日の成果につながったことは紛れもない事実です。六年間の汚名を晴らすことが出来、子どもたちにやっと顔向けが出来るという思いです。
  中学校の社会科の先生は「子どもたちがいかに賢くなり、社会の一員として参画してくるかという視点でみれば、今回の採択は当然の結果です。教育の論理が政治の論理に打ち勝った、と思います。良かったです」、「育鵬社・自由社の教科書不採択が決まりほっとしています。日本国憲法を生かした教育のためにはこの2社は否定しなければならないと考えていました。しかし、現一年生は2・3年で扶桑社版を使うという問題は残されます」、というコメントを寄せています。
  しかし、一方で今回の採択では、今までになかった地域で「育鵬社」版・「自由社」版の教科書が採択されるという事態が進行していることに大きな危惧を感じます。今まで採択していた杉並で再度の採択を狙った彼らの意図をくじくことが出来たことが、これからの採択地区への励ましとなってくれることを願います。
  私たちはこれですべて終わりとすることなく、子どもたちが、憲法の下で健やかに成長できる社会をつくるために、これからも力を合わせましょう。
2011年8月10日
杉並の教育を考えるみんなの会