活動の記録

6月29日 教科書採択に現場の声を!杉並教職員と区民の集いアピール

歴史の事実を伝えず、憲法・教育基本法を否定し、
戦争を賛美する教科書の採択を許してはならないアピール
今日、私たち杉並の教職員と区民は集い、杉並区 の教科書採択をめぐる問題に危機感と憤りをあらたにしました。 第一の問題は、扶桑社の歴史と公民の教科書は、偏った政治的主張に満ちていることです。ですから、中学生に渡す教科書として全くふさわしくないということです。その例は枚挙に暇がありません。歴史的事実や基本的人権をあいまいにして天皇を美化していること。国民を国家に従うべきものと描いていること。…実質憲法を否定しているのです。頭のやわらかい中学生に偏狭な国家主義を刷り込み、「お上」に従順な国民に仕立て上げようというたくらみを許すわけにはいきません。

第二に、教科書採択が現場教員の意見を事実上無視して進められることです。全く不当で不適切な採択制度であるということです。「教育職は、教科書の選択について不可欠な役割を与えられるべきである」としたILO.ユネスコ勧告を見るまでもありません。それぞれの世界では相当の学識・見識を持っているのだとしても、直接学校現場で子どもの教育に携わっていないたった5人の教育委員だけで、9教科16分野にわたる教科書全てを選択することは不可能なことです。その不可能をあえてやるのもまた、一部の政治的潮流が教育を牛耳ろうとしているからに他なりません。実際、教育現場や子どもの実態からかけ離れた教科書が採択され、教えにくくなっているのです。仕事上必要な道具を自ら選べず仕事上困難をきたしている状況を変え、現場の声を反映した採択制度にしていかなければなりません。

第三に、教科書採択をめぐる杉並の状況に対して、5月末に来日した韓国ソウル市ソチョ区長・チョ・ナモさんから「過去の歴史を隠すことなく、過不足なく事実に基づいて客観的に記すことこそ我々の共通の価値である」と、私たちの目指すべき方向が正しく指摘されました。一方で「国際社会に生きる」ことを子どもたちに教えるとしながら、「我が国」「日本」の優位性を強調し他民族をおとしめる記述に満ちた扶桑社版教科書を採択させるようなことがあっては、こうしたアジアの人々との友好・連帯を築くことはできません。私たちは、日頃子どもたちに教えているように、過ちは過ちとして認め、その反省に立って前に向かって進んでいかなければなりません。

山田区長は、役員がほとんど「つくる会」メンバーで占められている「日本文化チャンネル桜」と深く関わり、「大東亜戦争」と意図的に言ったり「特攻隊」を賛美する発言をしたり、ソチョ区長の来日を妨害したりとその言動は著しく公平性を欠き、扶桑社版教科書に肩入れしていると言わざるを得ません。

原水爆禁止運動の発祥の地杉並は、民主主義の精神を長年培ってきました。私たちは、「戦争のできる・戦争を支える」国民づくりをねらい、憲法を否定し世界との協調・共生を拒絶する教科書の採択を断じて許すわけにはいきません。 私たちは、杉並区で、全国でこの教科書が採択されないよう強く訴えます。
2005年6月29日
教科書採択に現場の声を!杉並教職員と区民の集い参加者一同