活動の記録

8月12日 採択日 臨時教育委員会傍聴と報告集会

1.本日の様子
傍聴希望者は934人いました。締め切り時間に遅れた人もあわせると1000人くらい。その中で300人は「つくる会」関係者という話もありました。泊り込みで備えていたそうです。区役所前は「つくる会」、反対する「親の会」、「杉並の教育を考えるみんなの会」の3団体がそれぞれアピールをして、騒然としていました。ものすごく多数の警官やガードマンが動員されていました。 傍聴者はくじびきで20名だけ。しかし、その20名のなかに、しっかりと「つくる会」の藤岡氏がはいっていて、彼は歴史教科書が採択されるとさっさと退席(その後に公民の採択が続けてあるのに)し、区役所前で万歳三唱をしたそうです。
2.決定方法
冒頭、議長である丸田委員長は「議論が出尽くしたところで議決」といいました。従来杉並区の教育委員会は採決をとるということはなく、合議で全員が納得いくかたちで決めていました。そのため、上記発言も通常どおりで、投票はおこなわないという程度に受け止めていたのですが、実際は違いました。
2時間弱、いろいろな意見がのべられ、扶桑社に対して賛成2人(宮坂:他社は一切評せず・大藏:1扶桑 2東京書籍 3大阪書籍) 反対2人(丸田・安本:二人とも1帝国書院 2大阪書籍)とわかれたのは前回と同じ。そこで教育長納冨氏に順位づけを決定せよと丸田委員長がのべたところ、納冨は1扶桑社 2大阪書籍 3帝国書院と述べました。 この段階で3−2で扶桑社に決定と丸田委員長は結論づけました。その直前に次のような言い訳ともいえる意見表明をしました。

・検定済み教科書なのだからどれでもよいという意見もあるが、実際には編集方針もいろいろな構成も異なるものを1種選択しなければならない責任と苦悩がある。

・教科書に一般の書籍も使える認定制度を日本でも導入してほしい。

・採択制度の変更も考えて、たとえば地域運営協議会がその学校の採択権をもつようにしてほしい。

・教科書を副教材としているドイツの例のように、教員が自分の裁量で教科書を選択できるようにしてほしい。

大きく意見が賛成と反対にわかれているものを、単純多数決で決定するというのはあまりにも非民主的で、あきれ返りました。通常の大人の会議ならば、大反対の人が複数いるのならその案はおいて、参加者全員が歩み寄り、ほぼ意見の一致する案を採択するでしょう。今回は、上記のように、宮坂委員以外は大阪書籍か帝国書院を1−3位にあげていたのですから、そこで決着することもできたはずなのです。 しかし、丸田委員長は審議の途中では、第二、第三という順位をきいたり、「大阪書籍はどうですか?」とふったことはあったものの、結論づけるときにはあっさりと多数決に従いました。なんらかの事前取り決めがあったとしか思えません。
全国的に見れば教育委員会の良識はまだまだ健在です。それだけに杉並の異常さが目立ちます。このような異常さを許しておくことはできない、これから採択の不当さを訴え、白紙撤回、やり直しを求め運動を広げ、強めていくことをみんなで再確認しました。
3.安本委員いじめ
「つくる会」の藤岡氏は「回答がなければ法的手段も」という脅しの公開質問状を安本委員に送付していました。さらに、安本委員を個人攻撃するビラを駅頭で配布していました。(石原のぶてる議員ののぼりもそこに立っていたそうです)そのため、安本委員は本日の委員会の審議中にそれに対する回答もしていました。にもかかわらず、というかそれにおいうちをかけるように大藏委員は「安本委員への質問書を私も見た。『戦争をすすめる』という点について回答がなかった。答えてほしい」と要求したのです!なぜ、大藏委員がこのような理不尽な要求ができるのか、「つくる会」と一体である証左以外のなにものでもありません。

丸田委員長はその要求をこばむこともしなかったので、安本委員は「『戦争をすすめる』とは言っていない。『戦争にむかう』と言った。私の思いではそうとれる」と短く答えました。安本委員を攻撃したのは大藏委員だけではありません。納冨教育長も、「『よく戦った』という5文字がなぜ戦争賛美なのか?」と追求しました。安本委員は「『よく戦った』と記述するならば、その陰で生活に苦しみ、死んでいった多数の庶民や原爆や空襲の被害のことも記述してほしかった。それがない。また私は戦争賛美とは言っていない」と反論していました。
安本委員にはお礼と励ましを送りたいと思っています。
4.あきれかえる納冨教育長発言
・人類の歴史から戦争はなくならない。歴史の多くのページは戦争・紛争・争いごと。
・帝国書院や大阪書籍は戦争をなくそうと書いているが、扶桑社は「戦争はなくならない」
  と明記している。現実をふまえている扶桑社が一番よい。
・日本人の伝統を伝えている点でも扶桑社が一番
・「よく戦った」の五文字には将兵だけでなく、庶民も含まれている。
・知覧に2回行った。そこでの感想ノートには中・高校生の若い人たちが実に様々な深い言葉をかきつけている。
・私は行政マンなのでことばを大切にしている。
(最後まで納冨委員は社会の調査委員会報告にはふれなかった)

*宮坂委員と大藏委員の発言は本日も不可思議なものが多数ありました。ただ、それを書くのはエネルギーの無駄のような気がするので省略します。あんな無知厚顔の人が教育委員とは本当に情けないおもいでいっぱいです。5年前の教育委員の任命のとき、公明党が退席などせず、しっかりと反対していれば、今日の悲劇は起こらなかった。
5.公民の採択
大藏 東京書籍
宮坂 扶桑社 (大阪書籍、清水書院もいいが)
安本 教育出版か大阪書籍
納冨 1大阪書籍 2東京書籍
丸田 大阪書籍
ということで、すんなり大阪書籍に決定。(藤岡氏が歴史採択直後に退席したのは、公民はだめだということがわかっていたからという意見が圧倒的でした)
ちなみに、地理と地図もすぐに帝国書院で決定。
6.採択終了後の区役所で
午後3時に「調査報告書を閲覧したい」と教育委員会にいきました。エレベータをおりたら、ガードマンが3人、机をおいて立っていて、庶務課デスクの前の扉は閉められ、たどりつけないので、びっくり。区民が暴徒になるとでも思っているのだろうか?別の係りの人が間にたって対応してくれたけれど、非常に不愉快。「2階の情報公開係に行くように」といわれて素直にしたがったが、そこでは「?わからない。お待ちください」といわれ、待つこと10分。あちこちに問い合わせしてくれ、結局は「情報公開請求書を書いてください。2週間以内に連絡します」とのこと。審議終了後には公開するといっていた資料も、まだ見られないのです。ただ、前回は多くの人が要望したので、教育委員会で頒布版を作成したということも聞きました。今回も要望が多ければ、同じ便宜が図られる可能性はあるようです。どんどん要望しましょう。
7.これからどうするか
@決め方がおかしいとか、掟破りの扶桑社教科書は採択候補からはずすべきだった等、いくつかの視点から「白紙撤回、再審議要求」を出していく。
  (杉並区役所、教育委員会だけでなくマスコミへも)
A調査報告書を分析し、何が現場の教員の希望だったかを確認する。

とりあえず、この2点をやっていこうと思います。長期的には採択ルールの改善も求めていかなければならないでしょうが。
高橋晶子
140名の参加を 持って、報告集会を行いました。
教育委員会(特に納冨教育長)への怒り、「つくる会」の不当介入への怒り、 今回の採択の仕掛け人である山田区長への怒り、瑞草区・韓国への申し訳なさ等々が語られ、 今後の運動に向けたさまざまな意見が交わされました。