活動の記録

10月9日 沖縄戦「集団自決」への教科書検定に関する陳情

杉並区議会議長殿
2007年10月9日
沖縄戦「集団自決」への教科書検定に関する陳情
【陳情主旨】
杉並区議会として、沖縄戦「集団自決」への軍の関与を削除させた教科書検定意見の撤回を求める意見書を提出して下さい。
【陳情理由】
2008年度から使用される高校日本史教科書の沖縄戦の記述に対して、文部科学省は「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」という検定意見をつけ、「集団自決」に日本軍が関与したことを削除させる処置をとらせました。 これは、以下の点で不当なことです。

(1) 検定意見をつけた理由について文科省は、「沖縄集団自決冤罪訴訟」で「日本軍の指揮官が自決命令は出していないと証言をしていること」をあげました。 これは現在係争中の民事訴訟の一方の側の主張であり、とうてい教科書検定の理由とできることではありません。また、「冤罪訴訟」という裁判呼称は原告側が名付けたもので、この呼称を使うことは文部省が明確に原告側を支持する姿勢を示したことになります。伊吹文科相はそれは「極めて不適切」と衆議院文部科学委員会で陳謝しています。

二つめの理由として文科省は、「近年の沖縄戦研究書で指揮官の直接命令は確認されていないという記述があること」をあげていますが、この研究書は、結論として軍や国の関与なくして「集団自決」はありえなかったことを明らかにしたものです。研究の主旨をとらえず、都合のいい部分を引用し削除の理由とするのは不当なことです。今日の沖縄戦研究において、「集団自決」に軍が関与したことは否定できない事実として明らかにされています。

(2) 文科省は、検定は「審議会で学術的な検討を得た決定」だと説明してきましたが、沖縄の新聞は、教科書検定日本史小委員会の複数の委員への取材から、審議会に沖縄戦の研究者は一人もおらず、文科省の教科書調査官が検定意見の原案を説明しただけで、具体的な議論はまったくなかったことを報じています。 それは、教科書検定が、専門的・学術的なものとして行われているのではなく、調査官や文科省の政治的な思惑に動かされたものであることを示しています。

(3) この検定に対して、沖縄県では41の市町村議会が検定意見撤回を求める 決議をあげ、沖縄県議会は2度にわたる決議を行いました。9月29日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」には11万人が参加したと報道されています。 高校生の一人は次のように発言しています。 「この記述を無くそうとしている人たちは、沖縄戦を体験したおじいやおばあ達が嘘をついていると言いたいのでしょうか。それとも思い違いだったと言いたいのでしょうか。」 文科省がこうした沖縄の声に耳を傾けないことは、沖縄戦で犠牲を強いたうえに、さらに教科書で事実をゆがめて押しつけるということです。
教科書の記述が歪められることは、もとより沖縄だけの問題ではありません。 多くの論議のある『新しい歴史教科書』(扶桑社)を採択している杉並区としては、なおさらです。杉並区議会として 、地方自治法99条の規定により、沖縄戦「集団自決」への軍の関与を削除させた教科書検定意見の撤回を求める意見書を提出するよう陳情します。
 
上記に賛同します。
以下、署名欄

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