活動の記録

―「韓国併合」100年と教科書問題に参加して―

6月19日に区立産業商工会館ホールで開かれた集会には、会場いっぱいの約140人が集まった。 第一部では、まず滋賀県立大名誉教授カン・ドクサン氏の基調講演があった。そして「韓国併合」は併合ではなく「武力による占領である」こと、皇民化政策とは、究極のジェノサイドであることを歴史の事実から解き明かしてくれた。日本で「大正デモクラシー」と言われる時代に、独立を叫ぶ人々を弾圧した3・1独立運動、関東大震災での朝鮮人虐殺等々。
話を聞きながら、S小学校での体験を思い出していた。4年生を担任し、関東大震災について、グループで話を聞いてくる学習をした。今でも大切にとってあるその作品には、祖母が父から聞いた震災の際に見たという虐殺の様子が語られており、川を流れていく死体がえがかれていた。
日本の敗戦後1950年に作られ『民主化の教科書』と言われた「国の歩み」の歴史認識が戦争中と全く変わっていない、教科書問題の原型となっていると聞き、これはかなりショックだった。もっともっと話を聞きたいと思った。 一部の最後には、『203高地まげ』の号外売りが登場して、「明るい明治の栄光史観」を大いにやり込め、溜飲の下がる思いになった。

滋賀県立大名誉教授カン・ドクサン氏の基調講演の様子
『203高地まげ』の号外売り


このあと長い休憩があり、展示室では、コーヒー、五味茶、トン汁、ビビンバ、それに珍しい小松菜のキムチなど、留学生や在日の方による“おいしい談話室”ができていて、参加者を喜ばせた。

第二部の「自分の言葉(朝鮮語)に殉じた詩人ユン・ドンジュ」は実に感動的だった。恥ずかしながら初めて知ったこの美しい詩と作者の生涯を知ることの無念は、朝鮮語による朗読の響きの美しさと共に忘れられない経験となった。

「自分の言葉(朝鮮語)に殉じた詩人ユン・ドンジュ」
お話:野上龍彦さん/韓国語朗読:川合光子さん


集会の最後を飾るシンポジウム「若者たちが語る!『日本とコリアン〜平和への道しるべ』」では、「謝罪するのではなく、事実を知ってほしい」「在日についてあまりにも知られていない。日本語を母語としている在日の人たちが鳥取県の人口より多いという事実」「草の根の人たちが友達になること、国を超えて市民レベルでの交流の大切さ」などが語られた。

シンポジウム「若者たちが語る!『日本とコリアン〜平和への道しるべ』」
コーディネーター:須黒奈緒さん
韓国からの留学生:キム・ソンハさん
walk9韓国巡礼に参加したさかいのりこさん
在日韓国人3世のみなさん


「職場の清掃作業に来ている『中国残留孤児』の女性が日本語に苦労していることを語り、『日本語が上手でいいですね』と言った」話や、「差別の現実から目をそらさないことで本当の手つなぎができる」という言葉が心に残った。
(文責・高円寺在住 K記)