杉並区教育委員会
教育長 納冨 善朗 様
教育委員長 丸田 頼一 様
教育委員 各 位 様 |
2005年8月18日 |
杉並区教職員組合 執行委員長 長谷川 和男 |
8月12日に杉並区教育委員会が行った扶桑社版「つくる会」歴史教科書の採択は、現場教職員や多くの区民、さらには全国各地の戦争に反対する市民の声を
無視して強行されたものであり、採択手続の上からも多くの問題を有するもで、断じて認めることはできません。杉並区教職員組合は、以下の項目について杉並
区教育委員会に強く要請いたします。 |
記 |
1.扶桑社版「つくる会」歴史教科書の採択を白紙撤回すること。
2.速やかに中学校歴史教科書採択の審議をやり直すこと。 |
(要請理由) |
1.扶桑社版「つくる会」歴史教科書は、アジアに対する侵略の歴史を「大東亜戦争」としてアジア解放の正義の戦争であったかのように描き出し,韓国併合を
正当化するなど、日本の加害責任を覆い隠し、広島・長崎の原爆や東京大空襲など戦争の被害の事実もほとんど伝えていない。原水爆禁止運動発祥の地、杉並区
の中学校歴史教科書としてふさわしくない。
2.調査報告書を参考にして作成された調査委員会報告書では、「つくる会」教科書は評価が低かったにもかかわらず、学校現場の声を無視して決定したことは誤りである。
3.杉並区教育委員会が調査報告書の書き換えを指示までして、強引に扶桑社版「つくる会」歴史教科書を採択したことは許しがたい。
4.扶桑社は、数度にわたる文部科学省の指導を無視して、検定申請書(白表紙本)を教科書選定関係者に配布するという悪質なルール違反を行っている。
5.扶桑社版歴史教科書の代表執筆者である藤岡信勝「つくる会」副会長は、8月4日の杉並区教育委員会の安本教育委員の発言を取り上げて「公開質問状」を出し、脅迫まがいの圧力をかけるという暴挙を行った。
6.藤岡氏は8月12日の教育委員会を傍聴し、扶桑社に反対する委員に直接圧力をかけた。執筆者自らが採択に圧力をかけるこれらの行為は、採択の中立性を確保する「採択規則」違反である。このようなルール無視の採択は、断じて許されるものではない。
7.一致点を見出す努力を重ねる合議制を基本としている教育委員会の慣例に反する。
以上 |